過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第16章 襲われる
「おい!本当に大丈夫なんだろうな?」
「団長は地下牢だ。こいつがチクんなきゃバレねぇって」
「そうじゃねぇよ!こいつすっげー強ぇじゃん。
あの兵長が一目置いてるんだぜ!?」
「撃たれた傷がまだ治ってないって話だ。暴れ出したらそこを・・・・・」
「女にそれは・・・」
「男だって聞いたぞ」
「どっちでも良い!前からこいつを抱きたくて仕方なかったんだ。
こんなチャンス二度とねぇぞ」
頭上から聞こえてくる下卑た会話から、
犯す目的で拉致られたのだと悟った。
声からして自分を拉致ったのは4人の男性兵士である事はわかったが、
弱った身体な上、縛り上げられていては満足に抵抗も出来ない。
兵団内にはナナシを快く思わない連中がまだいるという現状を
失念していたと、自分の迂闊さに腹が立った。
だが、いくらここで自分に腹を立てても、
この状況から逃げられないので、どうにかして逃げなければと
頭をフル回転させる。