過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第15章 契約の穴
残されたエルヴィンは張り詰めていた空気を霧散させ、
椅子に力なく座り込む。
好きでナナシを追い詰めている訳ではない。
だが、ナナシに調査兵団の事を沢山考えて貰うには必要なことなのだ。
今のナナシは保身の事で頭がいっぱいのような気がしてならない。
彼にそんな保身はいらないのだとわからせてあげたい。
リヴァイやハンジ達にナナシの身体の事を知られても大丈夫だと、
・・・以前と同じように接して貰えると早くわからせてあげたい。
調査兵団が・・・エルヴィンの傍にいる事が、
ナナシの心の拠り所になるとわかってもらいたいだけなのだ。
もう一人で戦わなくても良いのだと、
今までよく頑張ったねと小さな身体を抱き締めて
褒めてあげたい。
「・・・・・いつになったら、わかってくれるんだ?ナナシ」
なかなか交わらない心にエルヴィンは溜息を吐いた。