過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第13章 一生許さないで
――――翌日、地下牢への階段までリヴァイとミケに付き添われたナナシは、
エルヴィンのいる牢屋へと向かった。
以前とは違い気配を殺さず、
相手にも自分の存在を知らせるように足音を立てる。
牢の前に立つと、ナナシの姿を視認したエルヴィンは
一瞬目を丸くしたが、すぐに柔和な笑みを浮かべ
「やぁ」と声を掛けてきた。
「昨日はお茶とクッキーをありがとう。体調はどうだい?
少しは良くなった?君が来てくれると知っていれば
もう少し身なりに気を遣ったのだが・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
エルヴィンはわざわざ仕事を中断して席を立ち、
格子の傍へ寄ってきた。
明らかに憔悴し顔色の悪い姿を見て、
彼がどれだけ無茶な事をしているのかわかる。
ナナシは眉間に皺を寄せながら、努めて冷静な声を作り
エルヴィンへ話し掛けた。
「妙な事してないで、さっさとそこから出ろ。
兵士達が心配している。上に立つ者としての行動を取れ」
「君の言う事は最もだ。だが、それは出来ない」
即答された言葉にナナシは目を見張る。
エルヴィンの言っていることが理解できないでいると、
彼は真剣な表情でナナシに語り掛けた。