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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】

第12章 心の天秤










「あの・・・何があったかは存じませんが、
ナナシさんから団長に地下牢から出るように言って頂けませんか?
あのままでは身体を壊してしまいます」

「・・・・・・・・・・・・・」


何も聞かされていないモブリットは、まさかエルヴィンが
ナナシを強姦し、その自責の念から地下牢に籠っているとは
思ってもいない。

真摯なモブリットの頼み事にナナシは黙り込んだ。


「きっとナナシさんの言うことなら団長も聞いて下さると・・・・」

「モブリット」


モブリットの言葉を遮ったのはリヴァイだった。

リヴァイはモブリットを見据え、首を横に振り
「ナナシにそれを頼むな」と暗に告げると、
モブリットもその意を汲み、口を噤んだ。


ナナシにそれを頼むのは流石に残酷だとリヴァイが思っていると、
ナナシが静かに口を開く。


「・・・わかった。少し・・・話してみる」


その言葉にリヴァイは驚愕した。

本当に良いのか!?という視線を投げると、
ナナシからは苦笑が返され「このままでいる訳にはいかぬだろう」
と言われれば、何も言えなくなる。

確かにその通りだが、被害者が加害者の釈放を願いに行くというのは
明らかにおかしい。


何も知らないモブリットは、ホッとした様子で礼を述べ
退室していった。


残された二人は互いに沈黙し、時間だけが過ぎていく。
やがて先に言葉を発したのはナナシだった。


「調査兵団は・・・エルヴィンがおらねば上手く機能せぬ。
私のせいでそうなるのは不本意だからな・・・」

「・・・・着いて行くか?」


気を遣ってくれるリヴァイの申し出をやんわり断り、
翌日地下牢へ足を向ける事になった。






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