過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第12章 心の天秤
『ナナシ様、思うがままお進み下さい。
きっとあなた様が望む未来が待っているはずです』
『人間共にイジメられたら、俺に言えよ?
速攻殺しに行ってやるからよ』
『ナナシちゃん、頑張ってね!色々考え過ぎないで
流れに身を任せるのも良いと思うよ』
此方の世界に来る前の別れ際、ジャック、ジェリー、イサザに
言われた言葉を思い出してみると、ナナシがエルヴィン達と
再会するようなニュアンスに聞こえなくもない。
・・・私が・・・望む未来?
流れに身を任せる・・・・?
それは調査兵団で以前と同じように過ごせという事だろうか?
だが、エルヴィンがソロモンの孫とわかったからにはそうはいかない。
このままここにいては、エルヴィンにも調査兵団にも
悪影響を及ぼしてしまうだろう。
考え事をしていてリヴァイの接近に気付かなかったナナシは、
唇に温かいものが触れて漸く我に返った。
いつの間にかリヴァイがベッドに乗り、
ナナシにキスをしていたのだ。
ナナシが目を白黒させてリヴァイを見遣ると、
彼は唇を離し溜息を零した。