第44章 島
私と彼はやっとの事で島に辿り着いた
島は二人でやっと横になれる程の大きさで
手を広げたぐらいの距離で二つ並んでいた
しばらく一つの島に二人で寝そべって
息を整えていた
荒い息だったが目の前に見える星は
宝石がちりばめられてるようだった
「すてき......」
私は星を見て感動していた
すると彼はそっと私の手を握った
私も無言で握り返す
素敵な時間だった
安田「ほんまに驚いたわぁ....」
「本当にすいませんでした....」
私は素直に謝った
安田「俺は男やからええけど
ゆめちゃんまで下着なんて.....」
彼の言葉で自分の姿を思い出した
私は下着で海に入ってたのだ
私は彼に慌てて背中を向けた
「安田さん、でもどうして海に?」
疑問に思っていた事を聞いた
それは話題を変えたかったから
安田「そりゃ、海岸にドレスが捨てられてあって
海に入る人影を見たら追いかけるやろ?」
「あの時に来てたんですか?」
驚いて彼の方に向いた
安田「一回、車に戻ってたんや
スマホを忘れてな」
私はクスクスと笑った
すると彼は驚いて
安田「な、なんや?」
「なんか不思議だなぁって思って」
私は星に手を伸ばした
安田「おん、ほんまに
無茶ばっかりする彼女で不思議やわ」
「でも私が辛い時に
必ず助けに来てくれますよね」
私の言葉に彼は少し驚いた顔をして
「おん、運命に選ばれたからかもな」
そう言うと今度は彼が星に手を伸ばした
「運命に.....」
私は隣で同じようにまた手を伸ばし
二人の手を重ねた
安田「どのぐらい行くん?」
彼は寂しそうに言った
「三年です.....」
安田「そっか、ちょい長いな.....」
「ですね.....」
長い沈黙が続いた
どちらとも話せないでいた
話したら今の関係が壊れそうで
彼が伸ばしていた手をそっと下ろした
安田「ゆめちゃんの戻って来るのは
ここやからな」
そう言うと私を優しく強く抱きしめたのでした