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【6月合同企画】相合い傘

第6章 【オマケ】企画お題SSリレー




十人十色。
人の性質や考えなど、人によってそれぞれ異なるようにいろんな人間がいる。

あいつはあいつで、俺は俺でしかない。
俺以外の人間になんてなれない。
わかっているんだ、そんなことくらい。

田島はすげえ奴だ。
いわゆる、天才って奴。

どんなに努力して頑張っても、俺はあいつには敵いっこねえ。
それでも思ってしまう。

勝ちてえって。

小さい頃から野球が好きだった。
将来は野球選手だ、なんて家族に言っていた。
だけど、俺の周りには俺なんかよりすげえ奴がいた。
田島とか……。

どんなに勝負をしても勝てなくて、
苦しくて、そんな今を変えたくて。
そう思っているくせに、どうすればいいのかわからない。

うじうじ考えて、踏み出せずにいる。
何処へも行けずに、ただただ青い空を眺めるだけ眺める毎日を送っている。

小さい頃は野球選手になりたかった。
でも、そんなのは夢で叶わないと知った。
知ったくせに野球を続けているのは、
野球が好きで野球の面白さを忘れられずにいるから。

甲子園に行きたいって、心の底から思っているから。

そんなんだよ。
甲子園に行きたいんだ。
優勝したいんだよ、俺は。

田島はすげえ奴だ。
これは変わらない。
でも、田島一人じゃ甲子園になんていけない。
甲子園に行くためには、チームが必要なんだ。
そのチームが伸びるためには、チーム内の競争が必要で……。

なんだよ……。
うじうじ考えてる必要なかったじゃねえか。

要はあれだろ、
踏み出すしかないってことだろ。

俺はまだあいつには敵わない。
でも、変わらなきゃいけねえ。

震えたままの足でも、やるしかねえんだ。

雨が止んで太陽が顔出して晴れたら、
ずっと眺め続けていたあの青い空に虹を描こう。
俺にしか描けない七色の虹を。

ギュッと拳を握った。


「西浦ーぜ!!」



fin.





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