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【6月合同企画】相合い傘

第5章 ハイキュー!!/縁下力





あれから月日が経って、俺は高校2年になった。
大好きなバレーをしたくて、強豪だと言われた烏野高校に入学した。
厳しくも優しい先輩に囲まれ、
落ち着きがないけど頼もしい同期がいて、
癖があるけど実力のある後輩に恵まれ、

俺の毎日は充実していた。

だけど、雨が降る日はいつも思い出してしまう、あの日のこと。
彼女を助けてあげられなかった俺の苦い思い出。


6月上旬。
梅雨の時期がやってくる。
嫌でもあの日のことが頭の中で映像として蘇る。

言えないことが今よりたくさんあった。
あの時の虚無感を今でも覚えている。
忘れられるはずなんてない。

俺の隣から君がいなくなってしまったこと。
分かち合えなかった遠い日のこと。

寂しいと思った。
苦しいと思った。
君に謝りたい。
君に会いたい。

こんな当たり前を思うだけで、胸が苦しくなって景色が歪む。



「今日は転校生を紹介するぞ」

朝のHRの時間、担任がその言葉に、
ざわざわと騒がしくなる教室。
だけど俺はそれを聞き流し、ざあざあと降る雨を眺めていた。

彼女は今、何処で、何をして、どんな風に過ごしているのだろう。

悲しいことは思い出になりつつある。
君もきっとそうだろう?
当たり前のことで、その当たり前がとても悲しい。



『東京から転校してきたです』


俺は自分の耳を疑った。
ゆっくりと窓から教卓の方へと目を移す。

そこには、見覚えのある女の子がいた。
俺が傷つけてしまった女の子。

「……」

椅子から立ち上がって俺は思わず彼女の名を呼んだ。
クラスの連中が俺を見る。
だけど、そんなの気にならないほど俺の心はいろんな感情で満たされていて、
言いたいことがたくさんあるのに、声が喉の奥でつっかえる。

は俺の顔を見て、あの日と変わらない真っ白な歯を見せて満面の笑みで

『久しぶり、縁下くん』

一人ぼっちの相合い傘に、二つの笑顔が戻ってきた。



fin.



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