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【6月合同企画】相合い傘

第5章 ハイキュー!!/縁下力




中学2年の時、半年ほどだが同じクラスに不思議な女の子がいた。



彼女は、普通の人と比べるとどこか変わっていた。

どう変わっていたか。
挙げる例としては、いくつかある。
取り上げるときりがない。
その中でも、俺が一番印象に残っているのは、雨の日は傘を差さないということ。

小雨だろうと大雨だろうと、彼女は傘を差さずに濡れて学校に登校してくる。

くるりくるくる。
両手を広げて、雨の中踊っていた。

そんな女の子だった。



少し変わっているからだろうか。
誰も彼女に近づこうとしなかった。
まるで虫けらを見るような目で、態度で、彼女を扱っていた。
俺もそのうちの一人で、
それがあの時の俺らの「普通」な中学生活だった。




6月下旬。

梅雨の時期が訪れた。
毎日のように降り続ける雨に、誰もが倦怠感と憂鬱な気分に見舞われるこの時期。
やはり、彼女は傘も差さずに、くるりと踊って登校してきた。
毎日制服を濡らして、体操着に着替えていて。


みんなにバカにされて、クラス中の笑い者になっていることを彼女は知っているのだろうか。
いつも楽しそうに笑っている彼女を、俺はなんだかかわいそうになってきた。


放課後になり帰り支度をする。
この日は部活がなく、真っ直ぐ家に帰ろうと玄関まで足を運ぶ。

外のグラウンドを見れば、彼女はやはり踊っていた。
楽しそうに。嬉しそうに。

いつもは見て見ぬふりをするはずなのに、
どうしてだろう。
今日はなぜか、彼女に近づいて、声をかけた。


「一緒に帰ろう」


きょとんとした顔が俺を見る。
だがそれは一瞬のこと。
彼女は白い歯を見せて笑った。

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