第4章 ハイキュー!!/木兎光太郎
自分の一番好きな人が、自分を一番好きになってくれる。
たったそれだけのことなのに、
永遠に叶わない気がする。
* * * * *
木兎とは、中学生からの仲だった。
バカ騒ぎできる男友達。
そんな風にあいつのことを見ていたし、
あっちもたぶん私のことをそういう風に見ていた。
そんな仲だった。
だけど、中学3年秋。
ひょんなことから私はアイツのことが好きだと気が付いた。
理由はわからない。
ただ、傍に居たいと思った。
第一志望校だった森然高校をやめて、
木兎と同じ梟谷を選んだ。
「同じ高校じゃん!!」
って笑う木兎に私も笑って
『高校でもよろしく!!』
って私も笑った。
受験には難なく合格した。
高校では、木兎と同じクラスになっていい感じになっていい感じに付き合うんだ、と思っていた。
そんな夢みたいなことを見ていた。
だけど、高校に入ったらクラスは別々になるし
中学生の頃みたいにバカ騒ぎなんてできなかったし
そもそもあいつと会う機会がそんなになかった。
そして、7月の初め。
木兎に彼女ができた。
木兎と同じクラスの女の子。
ショックだった。
私の方が早く木兎を好きになったし、木兎のことを知っている。
私の方が、木兎のこと何千倍も何億倍も好きなのに……。
たまに彼女と話して笑っている木兎の姿を見ることがあって、
その度に私の胸は締め付けられた。
それから私は、木兎を避けるようになった。
というか、もともと会う機会なんてそんなにないから、避ける必要なんてないけど。
でも、私は木兎を避けた。