第4章 ハイキュー!!/木兎光太郎
それ以来、私は木兎と言葉を交わすことなく
高校生活を満喫し、3年生になった。
初めて木兎と同じクラスになった。
嬉しいはずなのに、素直に喜べない。
彼女とは今でもうまくやっているらしい。
唯一の救いは、その彼女と同じクラスではないということ。
きっと、嫉妬で気が狂いそうになる。と思うから。
そんなことをわかっていながら、私は私の気持ちに終止符を打てずにいる。
馬鹿みたいだ。
毎回毎回苦しい思いしてるなら、早く捨てればいいのに。
どうしてこんなに好きなんだろう。
わからない。
嫌いだと思っても、それでも思う。
声を聴きたいと、肌に触れたいと。
"諦めなきゃいけない"
何度そう言い聞かせただろう。
だけど、それは簡単にいかず私の胸の一番奥のさらに奥で根付いている。
テレビや雑誌の中じゃ
恋は楽しくて、幸せそうな色をしている。
なのに私の恋は、
どうしてこんなに重くていやらしいのだろう。
「だーかーらー!!俺が天才だからに決まってるだろ!」
教室の真ん中で、男子生徒に囲まれながら、わけのわからないことを大声で言う。
中学から変わらないその性格に、自然に頬が綻ぶ。
自信にたっぷりで、そのくせ調子が悪いとしょぼくれて。
うるさいけど、優しくて、面倒見がよくて、かっこよくて。
そんなあなたが、好き。
私の想いは、君には届かない。
それでいいよ。
私の卒業と一緒に、この恋も卒業するの。
なんつってみたり。
同じ教室だというのに、私たちの関係は変わらなかった。
会話は一切ない。
でも、彼を目で追いかける日々が多くなった。
そして悩む日々。
情緒不安定なんです、恋する乙女は。
それくらい許してよ、神様。