第3章 1.合宿しようよ!
翔也side
やっぱ強ぇわ、キセキの世代。だが気に食わねぇ。さん以外は真剣にやってくれなかった。
翔也「チッ…俺達なんざ眼中にねぇってか」
『…ごめんね』
翔也「!さん!何でさんが謝るんスか!」
『…あたしは多分こうなるって分かってたんだ。それなのに止めなかった。あたしの責任だよ。ごめん』
翔也「…何か考えがあるんスよね」
『…鋭いなぁ。さすが真ちゃんと高尾君の後輩だね』
翔也「バカにしてるんスか?」
『違うよ。2人のいい所を受け継いだって意味。まぁ、高梨君が真ちゃんに良い気はしてないって分かってるから、これもまた嫌味にしか聞こえないかもね』
どうしてこの人はそんな顔をして笑うのだろう。まだ初対面の俺にでも分かるような、苦笑い。そこまでして笑う必要はあるのか。自分が苦しいだけじゃないのか。
翔也「…何で笑えるんスか…無理して笑う意味が俺には分かりません」
『…高梨君がそれを言っちゃう?』
翔也「!」
ばれていた。俺が真ちゃん先輩に対して作り笑いをしていることを。無理に明るく務めていることを。
『あたしはそれが悪い事だとは思わない。それはちゃんと高梨君が出した答えだからね。そして、迷う事も』
…ばれていた。確かに俺は佐野の言葉に揺らいだ。赤司さんの事を憧れ続けているのは凄いと思う。そして、緑間先輩を憧れの対象として見るのをやめた自分が、分からなくなった。
翔也「さんは迷ったことなんて、なさそうスよね」
『…あたしだって人間だよ。迷った事くらい、あるよ』
翔也「聞いても、いいスか?」
『…中学2年に上がった時、あたしは先輩から主将を任された。主将に適任な先輩はいた。だけど試合に出れなかったら4番のユニフォームが泣いちゃうって言われちゃって。その時は凄く迷った。あたしなんかが、って思った。それでも…決めたよ。自分の力で』