第3章 想定外。
『もしもし、こんにちは!』
「こんにちは!」
電話なんてどうしたんだろう?
『今日はゆっくりしてなくていいんですか?』
「え?」
よく分からなくて聞き返す。
『さっき見かけたので、如恵留くんの事。』
「何処で!?」
突然の言葉に驚いて、思わず声が大きくなる。
『たぶん、2~3分前だったと思います。』
辺りを見回す。
『自転車でお買い物ですか?』
「あ、はい。」
鼓動が早鐘を打つ。
まさかありすさんに街中で気付いてもらえるなんて。
でも、どうせなら。
「あの!」
『はい?』
「今から会えませんか?」
沈黙。
せっかく電話をくれたのに。
俺、またやっちゃったかな…。
「…少し遅いけどランチ行きませんか?」
『…はい!』
よっっしゃー!!
ありすさんと会える!!
うわっ
今日の俺、こんな格好だけど大丈夫かな?
ロードバイクだったから動きやすさ重視だよ。
『じゃあ、そちらに向かいますね。』
ありすさんは俺が気になっていたお店まで来てくれた。
オシャレなカフェで2人でランチ。
向かいの席に座ると緊張するから、コーナーの席を選んで座る。
「来てくれてありがとうございます。」
右側に座る彼女。
『いいえ!でも、大丈夫なんですか?』
「大丈夫です!」
可愛い。
近くでこうして見るのは出会った日以来。
あの時は夜で暗かったから顔を見れたけど…
『?』
「あ、ごめん。」
横顔だからってつい見惚れてしまった。
向かい合わなくても緊張することには変わりないな…。