第14章 桜の木
手紙と、父と母の写真。
私はとりあえずそれだけを持って出た。
何か愛の証を見つけたかったわけじゃないけど、やっぱりそういう形たるものが私は欲しかったんだと思う。
今思えば、凄く単純なものだったのに。
「両親のお墓参りに行きたい、ダメですか」
「いいよ、もちろん」
両親が亡くなってから、私はお墓参りには行けていなかった。
行かなかったこともあるけど...
居なくなった、そう実感させられるようでなんだかモヤモヤした。
今は、ソラやルカくんが居てくれる。
それだけで大丈夫なような気がした。
「ありがとう、ソラ」
独りぼっちじゃないこと、ちゃんと分かってるよ。