第12章 消えた彼
彼は私と同じ境遇、でも私よりも重い過去を背負ってる。
両親の死体を見て彼は何を思っただろう。
「あそこに穴があるでしょ。あれは僕が念の為に掘った隠れ家」
上手くカモフラージュされてて分からなかったけれど、確かにマンホールみたいな蓋をされた穴があった。
「ソラからの連絡があるまでここに居よう」
「うん...」
これ以上、彼らの言う事に逆らわないでおこう。
いつものように大人しく。
でも、彼が何を考えているか分からないけど...
彼はときどき、遠くを見ているようで。
この予感が、どうか当たりませんように...