第1章 雨
運が悪い。
図書館が閉まっていた。
理由は分からないけど、最悪。
「はぁ...」
コンビニでビニール傘でも買おうかな。
もったいないけど...
「傘、持って来れば良かったな...」
ふとそう呟くと、いつの間にか横に男の人が立っていることに気づく。
「良ければお貸ししますよ?」
彼は傘を2本、手に持っていた。
なぜだが知らないが。
「い、いえ。でも...」
外国人なのだろうか。
目が青いし、銀髪だ。それに白い肌...
「遠慮せず」
見知らぬ人に借りるのもどうかと思う。
だってどこに返せばいいか、分からないし...
「明日もここに来ますから。」
そう付け加え、彼は私に傘を手渡し、雨降るなか歩いて行ってしまった。