【3Z】犬のように愛し猫のように可愛がる【R18/BL】
第10章 支配
あれから数日が経った。
あの日から高杉は俺の送り迎えをし、いつもの呼び出しもされなかった。
今日の朝も迎えに来ており、いまだに慣れない自転車に揺られながら学校へ向かう。
「…野球の試合、引き分けだった」
いつもは無言の時間が過ぎていたが、たまにはと声をかけてみる。
「そうか」
「集英高校相手に引き分けってスゴイよな。向こうは強豪校でこっちはほぼ素人なのに」
「そうだな」
素っ気ない返事ばかりだったが、
それでも話を続けた。この時間を楽しみたかった。
「着いたぞ」
「あぁ…ありがとう」
小さく頷き自転車を降りる。
高杉は自転車を置くとすぐにどこかへ去って行ってしまった。いつものプレハブ小屋だろうか。
去って行く高杉の後ろ姿を名残惜しく見つめる。
望んでいた平穏な日々だというのに、どうにも気持ちは落ち着かない。
胸の中にもやがかかっている。
「…やめよう」
頭を軽く振り気持ちを整える。
これから仕事なんだ、悩んでばかりはいられない。
小さく深呼吸をすると、ヨシッと意気込み校舎へ向かった。