第8章 杉並区へ、目指すはアクア・カレント
無制限中立フィールドへ行った次の日、要するに日曜日に皇羽は言った。
「じゃ、ちょっとアクア・カレントに会いに杉並区行ってくるから」
そしてその言葉を居間で聞くのは妹の美羽と暇つぶしに遊びに来ていた幼なじみの御熊美織だ。
美織はその言葉を聞いて数秒驚いた後言った。
「...What?」
驚きすぎて英語になっていた。
「ほら、美羽には言っていたと思うが心意技のことを詳しく教えてもらいに行くんだよ」
美羽は渋い顔をしていた。皇羽は知らなかったが彼女が【ISSキット】に手を出したのは『心意技』を使っている皇羽を見たからだった。
単純にお兄ちゃんが使っているものを使ってみたかった。
そんな気持ちでだった。
だからか言葉は割とすんなりと出た。
「...わ、私も行く!」
「は!?」
「だ、だだだってお兄ちゃん一人じゃ心ともないもん!」
「いやいやいやいや、リアル割れする危険もあるんだぞ!?...まあこっちはシルバー・クロウのリアル知ってからそこから行くつもりだが...」
「そんな危険あっても行く!行くったら行くの!」
そんな俺と美羽の会話を横から眺めていた美羽が突然笑いだした。
「ふ、ふふふふふふ...」
「うお...どうした...?突然笑いだしたりして」
「いやあね〜、二人のかけあいが面白くてね〜」
「...そんなことより美織も一緒に説得してくれよ」
「え?なんで?」
「なんでってなあ...」
そんな悶々としている皇羽に、美織がさらに爆弾が投下された。
「あ、私も行くよ〜葉山っちぃ」
その後、俺のえもいえない感情をはらんだ叫び声が高層住宅に響いた。