第7章 やっと、レベル4に、なりました
景色が崩れ、再構築される。
そして目の前に広がるは見慣れない、しかしどこか面影のある景色だった。
現在俺らは屋上にいた。暗く曇天の広がる空と硬そうな黒い建物、まあ硬いのだけれど。
そんなんが俺らのいる【魔都ステージ】のこれといった印象だった。なにせ初ダイブなもので、うんはい。
「う〜ん、【魔都ステージ】かぁ、まあいっか」
美織が思案げにつぶやく。
「ん?そういえばさ、なんで【無制限中立フィールド】にきたんだ?」
「え?そりゃあ勿論気分」
あまりの即答とその答えにこけそうになった。
「じゃあエネミーを狩ってみましょうよ!美織さん!」
「あ、それ名案!さあっエネミー狩りだあ〜」
そう言うと美織は白金色のF型アバター【プラチナ・フオーリンフェン】は垂直に結構な高度のあるビルからダイブする。お団子から伸びるツインテールが落下の風にたなびいていた。
てっ、そんなのはよくてだな!
「あ、おい!」
落ちたのだ、普通安否を確認しようと叫ぶだろう。
「お、お兄ちゃん...じ、地面が暗くて見えないよ...!」
美羽は既に涙目であった。
しかしそんな姿に保護欲を過剰にそそられるというのがシスコンという生き物だ、案の定皇羽は美羽に向かって赤い装甲の手をサムズアップして言った。
「だいじょうぶだ!俺に任せろ!」
「ものすごく不安だよ!?」
「そんなっ!?」
皇羽は美羽の一言で早くも轟沈した。
美羽は慌ててフォローに入る。そんな瞬間、下から声がした。
「お〜いいぃ!二人ともぉ!さっさと降りてきてってば〜!」
紛れもなく、【プラチナ・フオーリンフェン】を操る美織の声だった。
「あれ?美織生きてたんだ」
「そういえばさ美織さん無制限中立フィールドで死ぬと天を貫くマーカーが出るって言ってたよ。お兄ちゃん」
「へー」
そうなのかー初耳です。
そんな折、下からじれた声がした。
「もお〜!葉山っちも美羽ちゃんもまだ!?...こうなったらぁ...」
俺は瞬間、背中に寒気を感じた。
この言葉のトーンの時の美織は危ないのだ。
俺が制止の言葉を言おうとした瞬間、衝撃が走った。
美織が見に纏うは白金色の過剰光、その光が美織のもつ鉄扇に集まる。
「龍秦風!!!」
瞬間ビルが崩壊した。