第6章 【ISSキット】治療。要するに直結な!
「....ん」
俺はゆっくりと目をあけて覚醒するとほとんど反射的に時刻を見る。ニューロリンカーによって網膜に映し出される他人には不可視のデジタル表示の時計には深夜の3時と映し出されていた。
俺はついさっきまでの記憶、もちろん【ISSキット】の解除の記憶だ。その記憶を瞬時に辿り横に寝ている美羽と美織を揺すって起こす。
「おいっ!おきろってば美羽!美織!」
時刻は3時だ、そんな簡単に起きるものではなく...ということもなくすぐに起きた。
美羽は起きたかと思うと胸のあたりを手で探すように動かしたあと満面の笑みで言った。
「お兄ちゃん!胸のうちの黒いのがなくなってるよ!」
そして感激のあまりに俺に抱きついた。
やったね!俺は今この瞬間『死ね』と言われても軽く百回は死ねるぜ!
俺の頭は花畑!天にも上った気持ちだ....!
俺がだんだん感動の顔から恍惚な、もっと言えば変態的な顔になっていきそうになった瞬間、俺の頭に手刀が叩き下ろされた。
「ふぐッ」
「葉山っちぃ~?いいところすいませんでしたぁね〜」
「な、なんのことかな?」
「美羽ちゃんよかったね~【ISSキット】がとれたからもう明日から学校行けるよ!」
「はいっ!ありがとうございます!美織さん!」
「にしても葉山っちのアレ凄かったねぇ」
「アレなめちゃくちゃ疲れたんだ、今この瞬間も腹減ってる」
「ほう、それは私たちにご飯をつくれと?」
「ああ、お腹減ったから作ってくれ」
「...」
「ま、まあ作ってあげましょうよ美織さん。今回の立役者は誰がどう言おうとお兄ちゃんなんですから」
「...はぁ〜、わかったわよ、じゃあ何作ろっか美羽ちゃん?」
「そうですね...あ、お兄ちゃんはなにがいい?」
「...何でもいいからさっさとなんか作ってくれぇ...」
俺は二人が破顔して笑い声を残して美羽の部屋から出てくのを見送った。
あー、ほんとに腹へった....。