第6章 【ISSキット】治療。要するに直結な!
「ただいまー」
俺はそう言い家の中に入る。
家は国の土地面積の有効活用だとかそんなこんなで推奨されている高層マンションの一室だ。
母親は何やってるのか全くわからないし家にもろくに帰ってこない。まあ別にもういいのだけれど。何故なら!俺には美羽がいるからな!
それはさておき。
俺は美羽の部屋に一番に向かった。
そして、戸を開ける。
薄暗いその部屋は散らかっていて所々にぬいぐるみが落ちている。そして部屋の真ん中にあるベットの上に美羽が寝ていた。
俺はそっと枕元に近づき美羽の頭をゆっくりと撫でる。
あの艶のあった母親譲りのモカ色をした髪の毛は所々いたんでおり艶がない。
美羽は首にニューロリンカーを付けていない。三日前からだ、どうやら【ISSキット】はグローバルネット接続をしていないと侵食が格段に遅くなるようで美羽は極力学校や必要な時以外はニューロリンカーを付けないようにしていた。そして学校を休んでのこの三日、俺は美羽がニューロリンカーを全く付けてないことを知っている。
俺は改めて【ISSキット】作成者への憎悪を燃やした。
しかしそのような気持ちを俺は一度抑えて美羽に優しい口調で言う。
「美羽...美羽...。もう夕方過ぎだが夕飯は食べるか...?」
「...んぁ...お兄ちゃん...うん...あんまりお腹減ってないから大丈夫だよ」
そのいつものような覇気の無い美羽の声は俺の心を抉る。
くそ....俺は...俺は....ッ...。
「...そうか、だが少しは食べないとダメだぞ?俺がいまお粥を作ってきてやる」
「ふふっ...お兄ちゃん、お粥なんか作れるの...?」
「おう、任せておけ...多少の不安は拭えないがな」
「だいじょぶだよお兄ちゃんなら。だって私のお兄ちゃんだよ?」
「...そうだな。じゃあ作ってくるな」
「いってらっしゃい...」
ああー...勢い良く宣言してきたけど...どうしよ...。
俺、作り方なんてわからねえぞ....。