第5章 帰り道
電車に乗り、ビルの立ち並ぶ景色を眺めていた。
視界に広がるテクスチャの一つの現在地を表す画面が杉並から中野に移り変わった。
中野区は青のレギオン【レオニーズ】の領土だ。
ちなみに俺がポイントを稼いだのはここだ。
連続して毎日対戦を申し込んでいたから万単位でポイントが溜まった。
のだが。
きっとそれが【レオニ荒らし】って言われる原因なんだろうな...。
テクスチャの表示が中野の変わって数秒、加速音が響いた。
ですよねー....。
俺は草っぱらの広がる台地に立っていた。
ブレインバーストはソーシャルカメラ...いわゆる監視カメラの映像をハックしてその画像データでフィールドを生成している。
ので、フィールドの形や地形が現実の景色を彷彿とさせるのが普通なのだがここは【草原ステージ】だ。
だからか地面の傾斜のみがフィードバックされているので見渡す限りの草原となる。
要するに赤系なのに丸見えだということだ。
あまり俺には関係ないことだが今回は違った。
地平線の一点ががチカッと一瞬光が瞬く。
瞬間俺の左肩に燃えるような強烈な痛み。
「!!??」
ライフルか!?
レオニーズにいたのかよ!?
俺がレオニーズをポイント収集...もう狩場でいっか。に選んでいたのはレオニーズの構成メンバーのほとんどが近距離系の青だからだ。もし赤系がいても青のレギオンなのでそんなに大きなレンジを持ってるものはいないだろうと踏んだからでもあった。
その理由は1つだ、俺の【グングニル】のレンジが視界内でもし目に見えない距離、又は場所から狙撃されたら終わりだからだ。
そしてこの状況。
最悪だ。
「くそっ...!」
俺の唯一の必殺技【グングニル】は放っても意味が無いしアビリティ【プロポーテンリカバリー】なんて論外だ。
残る選択肢は2つ。
強引に接近するかここでレベルアップボーナスを取り賭けに出る、かだ。
俺は強欲ながら両方を選択した。
そして地を蹴る。