第43章 ファイナルセット
「当たり前だろ?」
そう言ったように見えた。
それを見ると俺はスタッフを見つけ、話をして選手の後ろの観客席に移動した。
「優!!」
優「ッ!?はじめ!?なんでここに!」
「脚!なんかあったのか!?」
優「、、、踏まれて、捻挫した、、、」
やっぱりかッ、、、
「監督さん!!こいつ少し借りれねえっすか!」
監「岩泉くん、、だったかな?何をする気だ?」
「こいつに、もう一度、空を跳ばせます。」
監「、、、本気か?」
「本気っす。」
せっかくここまで来たんだ。
来年があるかなんて分からねえ。
次がある保証なんかどこにもねえ。
監「わかった。優。行って来い。」
優「ッはい!!!」
マネージャーに肩を貸してもらいながらヒョコヒョコと選手通路まで来た。
優「あの時と同じだね。」
「だな。舞台がだいぶでかくなってっけどな。」
こいつの脚の動かしやすさに合わせてシュルシュルとテーピングを施していく。
「っし!終わった!」
優「はじめ。」
「ん?」
優「ありがと。見ててね。」
それだけ言って優はコートに向けて歩き出した。
「ったりめーだろ。」