第29章 第28セット
*国見side*
「ただいま。」
母「お帰り。ご飯は?」
「あー、少しだけ。」
母「わかったわ」
きっと何かを察したのだろう。
こういう時の母さんはすごくいい人だと思う。
自分の部屋に入って一息つくと襲ってくる疲れと苦しみ。
慣れないことばかりしたからだ。
優さん、俺がいつから好きだったか知らないでしょ。
バレー始めてからずっとですよ?
俺とは正反対と言っていいほどのプレースタイル。
ワンプレーごとに全力で手を抜くというとこを知らなさそうな選手。
キラキラと笑う笑顔と入部したばかりの俺達を気にかけてくれる優しさ。
自分から人に関わるのは苦手だったけど、
優さんだけは特別で
もっともっと関わりたいと思った。
あなたの全部を知りたかった。
けどあなたは及川さんとよく似ていて、“弱味”を全く見せなくて
俺はあなたの事、何も知れてなかった。
あなたは今、何を抱えてるんですか?