第14章 第13セット
ー過去ー*及川side*
俺は昔から優が好きだった。
物心ついた頃からずっと。
花がぱぁっと咲いたように笑う笑顔も
常に周りを気遣う優しさも
俺と岩ちゃんにだけ見せる少し抜けてるとこも
たまに見せる弱さも
アイツの人を魅了するプレーも
楽しそうにバレーをする姿も
全部が好きだった。
俺の好きな優は岩ちゃんのことが好きだと思っていた。
岩ちゃんのほうが俺より頼れるし、
優を支えられる。
岩ちゃんが優を好きなのは見ててわかっちゃう。
岩ちゃん分かりやすいからね!
そうとも知らずに当の本人は県選抜で知り合ったらしい牛若ちゃんのことをずっと話していた。
話を聞いていると牛若ちゃんは優に相当懐いているらしかった。
岩ちゃんならともかく、牛若ちゃんに渡すのだけは嫌だった。
より一層白鳥沢に勝ちたいと思うようになった。