第12章 第11セット
*優side*
しばらくすると貴大たちが一を連れて戻ってきた。
松「連れてきたぞー。」
徹が何か言うつもりなのか、立ち上がろうとしたため、
私は徹のジャージの裾をきゅっと握りしめ、それを止めた。
徹はなにか言いたそうに私を見たけど、何も言わずまた背中をさすってくれた。
そして一も何も言わなかった。
その場の空気はとても悪く、試合に負けたのと重なり、とても重いものだった。
入「おい。そろそろバスが着く頃だ。準備は出来てるか?」
監督から掛けられた声により、いくらかマシになったものの状況は何一つ変わらなかった。
移動する時になり、立とうとした私は、足にうまく力が入らなくてペタンと座り込んでしまった。
及「国見ちゃん。ちょっと、荷物持ってってもらえる?」
英にそう言った徹が私をお姫様抱っこして連れてってくれた。
普段の私なら絶対こんなことさせないし、されても叫ぶか暴れるかするだろう。
そんなこともできないほど私は、ダメージが大きかった、、、。
先生も何となく察して何も言わなかった。
バスでは徹が隣に座り、
学校についたときにはもう歩けたため自分で降りた。
入「明日も学校はある。家に帰ってしっかり休むように!練習はないが、ミーティングを行う。3年は今後のことを考えておくように。」
解散になってすぐ、私は誰にも声をかけられないように走って学校を出た。