第11章 第10セット
*及川side*
―――――ああ、嫌だ。
こっちのリードは変わらないし、チームも至って安定してる。
なのに
あんなに小さくてへたっぴな“彼”がコートに入って来る事が、不安で仕方ない。
ウォームアップゾーンで、フラストレーションを溜めた、
小さなケモノ。
くっそ、ギラギラした目しやがって
飛雄のワンタッチからチビちゃんがコーとの端まで駆け抜ける。
――――キタ
あの 空間を 裂く様な ワイド移動攻撃
ガンッ
ブロックを置き去りにし青城コートに落ちるボール。
―――――、、、いけない、、、調子を上げたこのコンビを、長々とコートに居させてはいけない。
――回せ 回せ 早くローテーションを
――チビちゃんを 1秒でも早く後衛へ回せ
チビちゃんのワイド移動攻撃によってブロックは分散させられ、ラリーも続く。
頭に酸素が回らなくなってくる、、、
「ブロックもっかい止めるよ!!」
日「持って 来ォォオい!!!」
岩ちゃんとまっつんがチビちゃんを止める為にブロックに跳ぶ。
トスが上がった先は――――センターからのバックアタック。
俺の腕を弾き、ボールはコートに落ちた。
岩「くっそ、、、、!!」
松「スマン、完全に釣られたっ、、、!」
点数は15-15の同点
ピーーーーッ
そして、青城がタイムアウトを取る。