第1章 え、なんか怪しい2人組がうろうろしてるんですけど
「今日は残業なくてラッキーだったな」
現在は夜8時過ぎ、幸い残業をすることもなく、ゆっくりと家に帰宅するため足を動かしていた。
「帰ったら飯食って風呂入ってテレビみて寝るか…」
もう何年も彼女なしの一人暮らし、家事もお手の物になってしまった。
今日も何時もと同じ日常、仕事をしてごはんを食べて寝る。あー、何か起きないだろうかといつも思うけれど今日も平和に時間が過ぎていく。
もう少しで自分が住んでいるマンションに着くと言う時、遠くて揉めている声がした。
英語だ。外国人だろうか。
もうこの辺は電灯がついているくらいで道も暗い。
そこに揉めてる外国人2人。
…これは素早く2人がいるところを通り過ぎるしか無いだろう。
「Hey you!」
「はっ…はい、な、何ですか」
通り過ぎようとした瞬間揉めていた1人がぐるんと身体を回転させ自分に話しかけてきた。
まさか話掛けられると思っていなかった為返事も怯えているようなしどろもどろな声になってしまった。
俺は英語が大の苦手だ、営業をしてる身としてどうなんだ、とは思うけども苦手なものは苦手なのだ。
英語は喋れませんとちゃんと伝えた方がいいだろうと思い
「I don't speak English…」
と中学生の頃習った英語を思い出しながら喋る。
「あー、そうだったな!ここは日本なんだ、ごめんごめん」
へらっと笑いながら突然日本語を喋り出した。
…日本語喋れたんかいっ‼︎
と突っ込みを心の中でいれる。
…しかし一つ疑問点が。
(この外国人、日本語上手すぎない?)
普通日本に来た外国人の方は「スシタベタイデスー」的な感じでカタコトなのだがこの外国人は日本で生まれたの如く流暢に日本語をしゃべっている。
日本にいる期間が長いとか?それともハーフ…?
つらつらと今起きた事を頭の中でフル回転させていると
「おーい、君聞いてるのかい?」
「はっ…ぁ、すいません」
顔を覗き込みながら俺に喋りかけてきた。
その事に驚き数歩下がってから謝る。
「おい、アメリカ、こいつビビってるじゃねーか」
ともう1人の外国人が注意する。
「うるさいんだぞ、イギリス」
「なっ…‼︎俺はこいつが可哀想だから…って、べ、別にお前の為じゃねーぞ‼︎」
と、よく分からないツンデレをかまして来た。そしてこの人も日本語がとてつもなく美味い。