第1章 消えるのが突然なら出会うのも突然

「とりあえず、部屋に案内してもらってもいいですか」

「あ、忘れてた。聖星ちゃんしっかり者だね」

　おそらく松本さん（多分通称まつじゅんだったと思う）にしっかり者だね、と言われながら軽々しく頭を撫でられました。
　セクハラ罪で訴えてもいいすか。

「褒め言葉のつもりですか」

「うん」

「全然ドキドキしなかった。嵐は私の趣味ではなかった」

「ひどいな」

「そういう人間なんです」

「開き直った」

「開き直って何が悪いんですか」

「そりゃだめでしょ」

「なんでですか」

「……疲れる」

「そうですか。お疲れさまです」

「……なんか、すごく、疲れる」

「わかりました」

　どうやら私は疲れる人間らしい。あまりこの人には話しかけない方が良いな。