第2章 部屋に入ったら
「あ、部屋はここね。おけ?」
「あ、おけです」
男でも「おけ?」とか言うんだ。ちなみに部屋を案内してくれたのはおそらく大野さんとやら。この人は知ってるぞ。釣り好きだと噂じゃないか。ホントか知らないけど。
「じゃ、どぞ」
「はい」
入った瞬間、すげー! みたいな。
パソコンがある、ベッドがある、ベランダまである!
すげえよ! ただの家事役にこんな部屋くれるとか!
嵐金持ちだな! まあ、そりゃそうか。だってジャニーズだしね。
「じゃあ、しばらく部屋にいます」
「あれ、部屋行くの? 話さないの?」
「話すことあるんですか」
「いやー初日だし?」
「質問に答えてください」
「だから、初日だから」
「初日だったら話すことあるんですか。なら2日目なら話すことないんですか」
「やっぱり疲れる」
「すみません」
また疲れると言われてしまった。やっぱり私は人と会話するのに向いてないのだろうか。