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短編集【黒子のバスケ】

第22章 Merry Christmas with笠松



バスケ部の活動に行事なんてものは関係ない。

それがクリスマスあっても、リア充たちのデートの日であっても。


「今日は女の子達がいつもよりにぎやかっスね〜」

「そりゃクリスマスだからだろ」

「!!!」

「……忘れてたのか」

「ここ最近忙しくて。笠松先輩こそよく覚えてたっスね」


ちょっとな、と言葉を濁して練習に戻る。
クリスマスなんて確かに今までの自分なら忘れていた、取るに足らないイベントだった。


「知らねぇの?黄瀬。笠松、彼女出来たんだよ」

「へ?!?!」


そう、彼女が出来るまでは。


「…って、何で知ってんだ!!」


彼女の学校は海常ではない。
いつも学校の外で会ってるし、誰もいないか確認までしてるのに。


「分かるよ、お前態度に出すぎ。デレデレだし」


あろうことか同級生にはほとんどバレていたらしい。
それでもからかってこなかったのは、そういう類を嫌う俺に気を使ってのことだろう。


「マジっすか?!笠松先輩彼女いるんすか?!え、会わせて!ねぇ会わせて!!」

「うるせぇ、しばくぞ!」

「もうしばいてるっ!!」


しかしこのキセキの世代の1人は良くも悪くも素直だ。
案の定彼は食いついてきて、写真はないのか次はいつ会うのかやたらしつこく聞いてきた。

休憩時間なのに体力を使ってしまったとそばにあった自分の飲み物を一気にあおる。

椅子に座って冷静になった頭は、自然と彼女のことで一杯となった。


クリスマスを楽しみにしていた理央奈。
前々からプランを練って、いつも楽しみにカレンダーの印を眺めていた。

そんな彼女に部活があるというのは心苦しくて。
でも言わないともっと傷つけるからと昨日ようやく告げた。

しかしその告白は遅すぎた。
目に見えて落胆した彼女は無理をして大丈夫だなんて笑う。

強く抱きしめても、唇を重ねても、その落胆は瞳から消えなかった。




「練習再開するぞ」


監督の合図が聞こえる。

あと少しで部活も終わりだ。



会いに、行こう。


アイツに。




長い1日を共に過ごせなくても、ほんの少しクリスマスを彼女と祝いたい。

そう決めて、笠松は立ち上がった。
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