第9章 閑話2
「ミユキ、すごい!どうやったの!?」
「ん?」
サスケに目を向けると、尊敬の念を向ける瞳とかちあった。
純粋な心は時として人を傷つける・・・罪悪感で心が傷ついたよ、わたし。
なんでだろうね。
「俺もやる!」
「やめておけ、サスケ」
わたしのまねをしようとするほほえましいサスケを、イタチ兄さんがとめた。
当然のようにサスケは不満そうにほほを膨らませる。
「大丈夫だよ!」
「いや、サスケ。イタチ兄さんの言うとおり、やめておいた方がいいよ」
サスケには悪いけど、さすがに二歳がやるにはちょっと、ね。
やってもいいけど距離がなまじ遠いだけに、暴投でもしたら怪我をするかもしれない。
まあどうしてもというならやらせてあげてもいいんだけれど。
ただ投げるだけだし、今のサスケじゃ届かないだろうし。
「今はまだやる時じゃないよ。もっと上手になってからやればいいんだよ。そのときは教えてあげるから、ね」
努力すればこのくらいの手裏剣術とも呼べない手裏剣術は出来る。
天才の名をほしいままにするうちはの人間なら、なおさらのこと。
わたしにもイタチ兄さんにも止められたサスケは、未だ納得がいかないようで「だって」と不満を零している。
と、ここで、わたしは魔法の言葉を囁いた。
「これやめたら、イタチ兄さんが手裏剣教えてくれるって」
「!ほんとうっ!?」
きらきら。おめめきらきら。
純粋だなぁ。
素直なサスケににこにこと笑いながら頷いて、イタチ兄さんに目を向けた。
「イタチ兄さん、教えてくれるよね」
にこっと、幼児特有の無邪気な笑顔で念押しすると、イタチ兄さんは眉を下げて困ったように笑いつつ、頷いたのだった。