第5章 忍者になりたい
転生者チートの可能性に思い至ったわたしは、これまで以上に忍術に関しての勉強を始めた。
といっても、わたしができるのは本の読み返しと、修行くらいだから、そんなに大変じゃなかった。
家族との交流も怠ってはいない。
特にイタチ兄さんとの距離が縮まったと思う。
きっかけは、「イタチ兄さん」と初めて呼んだ日。
その日もわたしは森で修行をしていた。
あんまりにも集中しすぎていて、背後に迫る人物に気づけなかった。
肩をたたかれ振り向いたわたしの目に飛び込んできたのは、イタチ兄さん。
そこでわたしは、驚きのあまり、こう呼んでしまった。
「イタチ兄さん」と。
無視してくれればいいのに、イタチ兄さんはその音をキャッチして、問い詰めてきた。
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「今、イタチ兄さん、って・・・」
イタチ兄さんが、戸惑ったような声を出すので、慌てて謝る。
「あ、ご、ごめんなさい、つい。あの、気をつける、今度から気をつけるから」
「もう、呼んでくれないのか?」
寂しそうな顔でそんなことを言うイタチ兄さんに呆然とする。
呼んでいいのですか、イタチ兄さん。
そして、わたしをそんなに萌えさせないで。切実に。
イタチ兄さん、わたしがおかしな人になったらあなたのせいだよ、確実に。
こんなことを思っているなどとはおくびにも出さず
「呼んで、いいの?」
と無邪気に尋ねる。
「もちろん。むしろ呼んでほしい」
「・・・イタチ兄さん」
つぶやけば、イタチ兄さんは嬉しそうに頬を染めた。
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萌えました。
うん、今思い出しても萌えますね。