第4章 九尾襲来の日。それから。
案内された場所には、これからお世話になる家族全員がそろっていた。
幼いイタチ、乳児のサスケ。
そしてその二人の両親である、フガクさんと、ミコトさん。
ひとついいかな。
幼いイタチがかわいいっ!
かわいいかわいい。
可愛すぎてぺろぺろした・・くはならないけど、変態さんじゃないから。
ぎゅーってしたい。
わたしは前の世界でイタチが一番好きだった。
だって、優しいし、かっこいいし、理想の兄だったんだから。
それが、それがっ!
わたしの兄になるんだよ!
理想の兄が!現実の兄に!
うわー、テンション上がるー!!
「あなた、イタチ。ミユキちゃんがきたわ」
ミコトさんが声をかけると、わたしに二対の視線が集まった。
「お久しぶりです、フガクさん。こちらがミユキです」
とナキさんに軽く背中を押されて前に出る。
「更科ミユキです。お世話になります、よろしくお願いします」
ぺこりとまたお辞儀をして、一歩下がり、元の位置に戻る。
わたしの言動に、彼らは少なからず驚いたようだった。
イタチは目を丸くし、フガクさんは肩眉をぴくりと上げていた。
もっと2歳児っぽくしたほうがよかったかなぁ。
笑顔で「よろしくおねがいしますっ」とか?
あ、そういえばわたしは両親を亡くしたばかりなんだ。だからなにも名前をぶっきらぼうに言うくらいでちょうどよかったんじゃない?もしかして。
あー、いろいろ失敗した。
ま、大丈夫でしょ。
なんとかなる。
わたしがいろいろと考えていると、フガクさんが急に立ち上がって、こちらに近づいてきた。
わたしの目の前に立つと、じっとわたしを見下ろした。
け、けっこう、迫力あるなぁ・・。
こ、怖いんだけど!
やめて!穴が開く!見つめないで!
と心のなかで悲鳴を上げるが、表情は変えない。
じっとフガクさんを見つめ返した。
はやくもそらしそうだ。