第21章 波の国、帰還
さて、現在わたしは困っている。
目の前には第七班のメンバーと火影様と仕事を振り分ける大人達。
その中にはイルカ先生もいる。
そして。
波の国の、タズナさん。
白い髪とひげに素朴な眼鏡。
片手には酒瓶をもち、それを依頼をする今ですら煽っている。
なんとも良いようには言いがたいじいさんだ。
で、
つまり言いたいのは、これが波の国任務と前世では呼ばれていた、桃地再不斬との戦いのはじまりだということ。
んでもって、その任務は死をも伴う危険なものであるということ。
・・・
どうしよう。何も対策を考えていない。
わ、忘れてたわけじゃないよ?ただちょっと頭の隅によってただけで、さ。
ほら、考えることを拒否してた、ってよくあるじゃん?それそれ。
きっとそれ。
うんうん。
表面上は平生を装って、心の中では必死で言い訳を繰り返していたら。
やはり原作通り依頼を受けることで話がまとまったようだった。
これから準備をしてすぐに出発するらしい。
と、いうことは作戦を考える時間すらもない。
歩きながら考えるか。
いや…、そうだ。
良い案を思いついた。
「カカシさん」
「ん?なにさ、ミユキ」
「わたし、後から行きますので、先にいっていてください」
「えー、そりゃまたなんで」
「まあ。ちょっと」
にこりとわらって曖昧にぼかす。
カカシさんは納得のいっていない顔をしていたが、わたしの意志を尊重してくれたのだろう、「わかった」とうなづいてくれた。
ちなみにサスケに聞かれると面倒なことになりそうだったので、カカシさんにしか聞こえないような小声で話している。
きっとカカシさんがうまいこといってくれるだろう。
え?丸投げ?
カカシさんを信頼しているだけだよ。
カカシさんに信頼を押しつけて、よろしくおねがいします、といろいろな意味を込めて囁くと、わたしは気づかれないようにそっとその場を立ち去った。