第16章 うちは一族虐殺事件
「その術って、どのくらいの距離で効果があるの?」
「んー、試したことねぇけど、いままで使えなくなったことはねぇからこの世界ならどこでも平気なんじゃねえ?」
「・・・なら、においが持つのはどれくらい?」
「それは自分で決められんぞ。一日だけとか、半永久的につけることも可能だ」
・・・・・・・なんだよそのチート!?
おっかしいだろ!?
なんでこんな凄い人が死ぬの!?
というかなんで原作出てこないの!?・・・・ってあ。
イレギュラーか!
あれ、そうなると。
ルウさんも転生者とか?
……・・・んなわけないか。
うん、きっと考えすぎだ。
「うん。分かった。じゃあ呼びたくなったら呼ぶね」
「おう。待ってる」
なんにも考えていなさそうに笑ったルウさんがなんだか恨めしく思えて、きっと睨んだけど、まったく効果はなかった。
そしてルウさんの台詞が時々小説とか漫画に出てくるイケメンさんの台詞に聞こえるのはわたしだけだろうか。
わたしだけであってほしくはない。
しばらく会わなくなるであろうルウさんの姿を目に写しながらそんなことを考えた。
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……ミユキの気持ちが。
罪悪感にまみれていた彼女の気持ちが。
七星ルウという存在と会話をしたことにより、上向いていたことに、彼女自身
が気づくのは。
もっともっとずーっと、後になってのことである。