第16章 うちは一族虐殺事件
そろそろ木の葉に帰ろう。
そう思い立ったのは突然だった。
大国でない、小さな村にいた頃だったと思う。
思い立ってすぐ、帰らないかとルウさんに提案したところ、二つ返事で了承してくれたため、その場で木の葉に戻ることを決めた。
——…
それから幾日か。
わたしたち二人は、木の葉に向け着々と歩を進めていた。
実を言うと、まだフガクさん達と決めた期日である、“三年”までは時間がある。
しかし、それを前倒しにしてでも戻らねばならない大事な用がわたしにはあるのだ。
その大事な用というのが、
「うちは一族虐殺事件」だ。
この事件は、クーデターを企てているうちは一族を、里の仇になると判断した木の葉上層部の命令により、皆殺しにするもので、イタチが一族を殺す実行犯となっている。
イタチも一族を、家族を殺すことがつらくないわけではないが、一族より、里の安全を考え、この選択をした。
・・・いや。
サスケを守るためにこの選択をした、のかもしれない。
詳しくはよくわからない。
確か、イタチはうちはマダラと、契約したんだ。
一族を殺すかわりに、サスケには手出さないと。
一族を捨てることはできても、
弟を、サスケを殺すことだけはどうしても出来なかったのだ。
そうして、兄に一族を殺され、一人きりになったサスケだが、
サスケは兄の思いなどみじんも知らない。
当然、兄イタチを恨んだ。
そして後の復讐へと走るが、それすらも、イタチの計算だったとかなんとか。
もしこれ本当だったら、イタチすごいよね。
そんなことまで考えるなんて。
しかも一族皆殺し。
それをしておきながら、サスケのために生きる。重荷を背負って生きる。
そうとうつらかっただろうと、想像するだけで身が悶えそうだ。