第15章 別れと出会い
「えっと、我愛羅さん」
「なんだ?ミユキ」
「離してくれませんかね?」
風なく敵なく異常なく。
本日も平和な砂の里。
その入り口にて、わたし、ミユキは、我愛羅に正面から抱きつかれ、身動きがとれなくなっていた。
「何故」
「何故って、この里を出るからだよ」
そう。
わたしは今日で砂の里を去る。
我愛羅とは一時お別れとなるのだ。
「ずっと・・・一緒だっていった」
「そりゃ言ったけど・・・」
わたしはそっとため息をはき出した。
困った。
ほんとに困った。
あの「夜叉丸さんに我愛羅が殺されかけちゃってやばかったけど、わたしのおかげでどうにかなったよ事件」、略して「やばかった事件」以来、我愛羅は以前にも増してわたしにくっついて回るようになった。
ずっと一緒にうんぬんかんぬん、という言葉のせいだと思われる。
意味が違うんだよ、我愛羅。
嬉しいけどさ、嬉しいけど!
「が、我愛羅?そろそろやめてやったらどうだ?ミユキさんも困っているようだし・・・」
困り果てたわたしを見かねてか、おそるおそる我愛羅に声をかけるのは、テマリ。
「そ、そうじゃん。困ってんじゃん」
同じく声をかけるのは、カンクロウ。
原作でもおなじみの二人。
この二人は現実でも我愛羅の兄弟になった。
そして、原作と同じように我愛羅を恐れている。
そのわけは
「黙れ」
・・・。
我愛羅のこの態度にある。
どういうわけか、我愛羅の性格は原作通りだ。
例外であるわたしたち——わたしとルウさんのことだ——を除いて。
絶対的恐怖の存在。
これを前にして恐れない弱者はいない。
これは・・・悲しむべきか、喜ぶべきか。
我愛羅の悲しみを取り除くことが出来なかったこと、これから我愛羅に理不尽に殺される人々のことを思えば、悲しむべき……だろう。
がしかし。
死神的な我愛羅もね、そのわたしはぞくぞくして好きだからネ…。
なんともいえない。