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【6月合同企画】雨より飴を希望します

第2章 神々の悪戯/戸塚 月人






雨音がパラパラと聞こえて、何となくその音が耳に良く入ってしまうため寝ることができなかった

箱庭ならば夜に出掛けても特に問題はないため外に傘をもって出ると、ベンチに何もささず座っている月読命もとい月人さんがいた




「月人さん」


「苗字名前…こんな夜に何してるんですか?」


「お散歩です。月人さんこそ傘もささず何を?」


「月見です。俺の使命ですから」


「…座っても良いですか?」


「どうぞ」



月人さんが座っているベンチにハンカチをひいてから腰を下ろして、空を見上げると先程と変わらず小雨が降っていた

それでも月人さんは相変わらず空を見つめており、何を考えているのかはいつも通り分からなかった




「…月、見えませんね」


「それでも、月を見ることが俺の使命ですから…」


「じゃあ、今晩は一緒に見ますね」


「…寝不足になりますよ」


「じゃあ月人さんこそ、今は人間の体なんですから寝ましょう?」


「ムリです」


「じゃあ一緒に見ますね」



どこがじゃあに繋がっているのだろうと思いながら、私は月人さんに気づかれないようにそっと傘に彼を入れた
女性用の傘ではやはり限界があり、彼の肩も私の肩も濡れていた

そこにほとんど会話はなく、無言の状態が続いていたが不思議と気まずさは無かった

それ以来少しずつ月人さんが人間らしくなっていったと思うのは私の思い込みかもしれないが、十分なことだった










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