第1章 ハイキュー!!/西谷 夕
「あ、雨ですよ西谷さん」
「何かうじうじしてるみたいで弱っちぃな…もっと元気出せよ!」
「しゅ、修造…」
登校中、少し強目の雨が降ってきた。確か折り畳みがあったはずだとスクールバッグを漁って西谷さんへと差し出した
彼の顔を見ると必然的に頭も髪も見えるのだが、西谷さんの頭はいつもと違ってペタンコになっていた
「あ、西谷さん髪の毛ぺちゃんこ!」
「あー…雨に濡れたからな」
「いつもより背ちっちゃいですね…西谷さん、159cmでしたっけ?」
「ああ!苗字は何cmだ?」
「私は154cmです」
「…え!?お、俺より小さくなくない!?」
「…なくない?えっと、私のこれ、インソールと普通にヒールがあって7cm増されてるんですよ。そうですね…学校着いたら見せますよ」
「学校で話さないもんな…ワリィ」
「仕方ないですよ、学年違いますし…それに上履きもインソールだから意味ないです」
その後学校に着いてから靴箱に入っている上履きからインソールを抜いて、西谷さんのことを少しだけ待った
髪がペタンコな彼はやはり珍しくて、少しだけいつもと違う気持ちを胸に感じた
「ほら、小さいでしょう?」
「お、おお…!」
「背小さいの気にして入れてたんですけど…もう必要ないですよね…西谷さんが隣にいるんですから」
えへっと照れながらも笑って言うと西谷さんは首筋まで真っ赤にしながら、はにかんでくれた。そして周りに誰もいないことを確認してから私をそっと抱き締めてくれた
雨に濡れた冷たさが、暑いほどの身体には心地よかった