第7章 黒子のバスケ/紫原 敦
「この雨…飴だったらいいのになー…」
「いやー…ムリでしょ…」
「名前ちん飴作れないのー?」
「水飴なら…練るだけだし」
「雨、飴に変えてー」
「ムリだよ」
苦いもの好きの私と甘いもの好きの紫原、正反対のものが好きなのになぜか相性はそれなりの私達は休み時間にお菓子の持ち合いを行っていた
それでも太らないのは恐らく…厳しい練習の部活のおかげだろう。なかったら恐らく…紫原よりも体重が重かったかも…しれない
「あ、コーヒー味だからこれあげるー」
「サンキュ、これえっと…イタリアン風イチゴ餡入り最中味ね」
「ありがと~」
イタリアン風イチゴ餡入り最中とはイタリアン風と和風どちらなのだろうかとお菓子の味そっちのけで考えていた
外は相変わらず雨が降っており、確かに紫原のいう飴なってほしいという気持ちはよくわかった
「部活、行かないの?みんな行っちゃったよ?」
「ちょっと遅れていくー、苗字ちんは?」
「今日うちの部活休み」
「ずるーい」
どこかだ。と思って紫原からもらったコーヒー味の飴を口に入れた
なぜか彼は私の口元ばかりを見ていて、珍しく苦いものでも食べたかったのかと思っていると紫原は私の唇に唇を重ねてきた
しかも私の口内にある飴をとろうとしているのか、舌まで入れてきた。何してるんだこいつ
「げ、にがー…苗字ちんいつもこんなん食べてんの?」
「紫原の口こそ甘いんだけど」
「そうー?」
「たまには苦いもん食べてよね」
「…名前ちんも、十分甘いけどなぁ」
立ち上がった彼はイチゴ味の飴を咥えて、私の唇にまた唇を重ねた
甘ったる、と思いながら唇は離れたのになぜか私の口に入っているイチゴ味の飴をゆっくりと味わっていた
外の雨が飴に変わったらもっと紫原と仲良くなれるのだろうかと考えつつ、珍しく自分から甘いものに手を出した