第76章 清新
「ゴメン、みわ……ゆっくり、するつもりだったんスけど、オレ……もう」
まだ、最後までしてあげられてないのに。
私、してもらってばっかりなのに。
涼太の美麗と言っても過言ではない顔に、一筋の汗。
透き通った雫が落ちていく様が凄く綺麗で、つい目を奪われてしまう。
荒い吐息と共に向けられた視線は、既に熱く濡れている。
彼はそう言うけれど、私の身体はもうじっくり、ゆっくりと慣らされ、開かれている。
いつでも受け入れられるように、蜜を溢れさせて。
「私、大丈夫、だよ……」
乱れる呼吸をなんとか整えながらようやく言えたその言葉に、涼太はそっと微笑みながら、避妊具の封を口で勢いよく開けた。
薄い膜を覆った涼太が、入って来ようとしている。
どくん、どくん
こころのほんの片隅にある不安な気持ちに、気付かないフリをしてやり過ごそうとする。
構える必要なんて、どこにもないじゃない。
涼太は、こんなに優しく触れてくれる。
痛いことや、酷いことをするわけない。
分かっているのに。
「挿れるよ、……みわ」
「ん、ッ」
グッと沈み始めた硬い先端の気配に、思わず息を詰めた。
下腹部に、必要以上に力が入る。
「……みわッ、痛い? キツイ? も少し力、抜ける?」
涼太が一瞬眉を顰めた。
私に気付かれないようにと、サッと表情を戻す。
きっと、涼太……痛いんだ。
分かっているのに、息を詰めてしまう。
下腹に込められた力が抜けない。
「ごめっ、ごっ、ンッ」
ふわり、頬を大きな手が包んだ。
「だいじょーぶ、ゴメンね、焦らせて……」
どうして、涼太が謝るの。
丁寧にほぐされた秘部は、痛みなど全く感じる事なく、彼を受け入れようとしている。
私の気持ちが邪魔してるだけだ。
「っ、りょ、たの方が、痛い、っでしょ……っ、ごめ、なさ」
「ヘイキ。オレはヘイキだから。息、吐いて……」
「はぁ、……っ」
強張っていた身体に、少し余裕が出来る。
「ん、そう、もっかい」
涼太の優しい気持ちが、硬くなった壁を少しずつ溶かしていくのを感じた。