第65章 星空
キスをしていると、涼太の顔が目前にある。
その長い睫毛は、私に届いてしまいそう。
快感に抗いながら目をなんとか開けると、琥珀色の瞳と真っ直ぐ目が合う。
その瞳の中には、否定しようのない欲情が湛えられていた。
"同じ空の下にさえいれば……"
そう。生きてさえいれば、同じ空の下に居られるんだ。
同じ星を見ることは可能なんだ。
それなのに、まだ私は貴方の手を離す覚悟が出来ない。
別れなきゃいけないと分かっているのに、怖くて口にする事が出来ない。
覚悟が出来ないまま、こうして愛される自分がずるくてイヤになる。
苦しい。
好きなのに、大好きなのにつらい。
恐怖を感じる程身体は欲望に敏感になって、もっともっとと求め続けてしまう。
誰か、このひとを手放す方法をおしえて。
「みわっ……」
手の中で硬くそそり立つ彼を扱くと、涼太の目が蕩け、キスが更に深くなってゆく。
先端からは次から次へとトロトロした液体が溢れて来て、愛撫を助けてくれる。
「ハァ、ハァ……」
快感に喘ぐその姿があまりにキレイで……もっと、もっと見たい。
いやらしく乱れる涼太が見たい。
いつも、そう思ってしまう。
肘で身体を支えている涼太の上半身を両手で押して、私が馬乗りになる体勢で押し倒した。
「……みわ……?」
「りょうた……」
ピアスが光る左耳に唇を寄せ、耳朶を舐めるように吸い付くと、涼太の肩がぴくんと反応した。
「ん……」
感じてくれているの?
涼太がするように、私も舌で愛撫する。
「っ」
声を押し殺す気配に私自身もジンジンと疼き、もっと彼の感じている姿が見たくなってしまって。
止められない。
涼太を舌で愛していると、彼の大きな手が頭を撫でてくれる。
たったそれだけの事なのに、愛おしさが次から次へと溢れてくるよう。
「あ……みわ……ッ」
その形の良い唇が私の名前をかたちどるのが嬉しい。
甘い、甘い声でもっと呼んで。
「涼太、もっと……もっと感じて……」
私が涼太を愛撫している筈なのに、まるで涼太に愛されているかのように、私も感じている。
太腿を温かい愛液が伝っていくのが分かった。