第4章 人と人ならざるもの、弐
「え……?」
「……っ!」
ぱちり。
ドアの向こう――外にいた少女と目があった。
短めの髪の、どこか涼しげな少女。
一瞬、ドキリとするものの、自分が幽霊だということを思い出す。
――大丈夫。見えてないから!
ホッとするものの、目の前の少女が自分のほうを凝視しているのに、違和感を覚える。
――え……? もしかして、見えてる……?
――霊感があるとか……?
だとしたら、かなりまずい。
もしかしたら、周りの人間達に言いふらされてしまうかもしれない。
そんなことになったら、狐優や彩夏たちにも非常な迷惑がかかるだろう。
――待って。もしかしたら、妖怪かもしれないし……。
とにもかくにも、確認してみないと相手が誰かはわからない。
「あ……えっと。どなたですか……?」
「――!」
勇気を出して声をかけてみるも、目の前の少女はびくりと肩を揺らして、その場から森の方へと走り出していってしまった。
「あっ! 待って!」
慌てて呼びとめるも、既に少女の姿はない。
しばらく唖然としていたが、はぁ、と肩を落とす。
――逃げられちゃった……。
自分が「幽霊」という存在だということを思い出して、切なくなってくる。
だが、落ち込んでいても仕方がないと思いなおし、「よしっ」と気を取り直した。
――あ。あとで、狐優に言っておかなきゃ……。