第2章 私の名前は
たった一本のナイフに動きやすい服装で私はジョースター家へ乗り込んだ。
門付近に執事やらメイドがいたけれど、そんな事なんてどうでもいい。小さい頃から鍛え上げていた脚力でそこを駆け抜けて玄関をノックもせずにバンッと音を立てて開ける。
「ディオッ!!」
私の家も結構お金持ちだけれどココは比べ物にはならない。
だだっ広いエントランスホールに置いてあるソファに腰かけて本を読んでいるディオを見つけた。まるであのころとは比べ物にならない程の金持の顔をしている。
「…?!」
「なんでここにいるのかって顔ね、私はずっと…この町にいたわ」
そう、ディオは知らない。だってずっとこの機会をうかがって隠れていたのだから。
でももうその必要はないわね。
「なんのようだい?まさか…僕を殺しに来たたのか?」
「ええその通りよ、分かっているのなら大人しく私に殺されて頂戴」
私は隠すでもなく、ナイフを取り出す。
「そのちっぽけなナイフで?笑わせないでくれよ」
「笑わせるつもりなんてないわ」
ナイフを握りなおしてディオに近づけば、ディオの顔はどんどん深い笑みをつくるだけ。女の私に勝つ自信しかないと言った表情ね、今すぐぶち壊したい。
「ディオ…あなたはやはり生きるべきではないわ!!」
思い切りナイフを振り上げ、ディオの心臓めがけてそのナイフを突き立てようとする。
だが、やはりディオもあの辛い日々を生き抜いてきた人だからひらりと避けるアクションぐらい余裕にとってみせる。
「へえ?僕が生きるべきじゃあないと」
「ディオさんが襲われているぞ!!」
「侵入者をひっとらえろ!」
後ろから何者かに押さえつけられ、その場に伏せられてしまった。ナイフは床を滑っていく。
「僕はこのジョースター家で生きている、いい加減もう昔の事は忘れろよ」
「うるさいッ!あなたさえいなければ、あなたさえいなければ!!」
私の声はディオにも執事たちにも届かず消えていった。