第7章 真実はな、
意識がもうろうとしている姉さんを外へ突き飛ばす。ジョジョは俺に対し明らかな殺意がある、吸血鬼は不死身、不老不死だ。だが姉さんに怪我をさせるわけにはいかない。
「ディ、ディオ…何しているの…?」
「姉さんはそこで待っててくれ」
「ま、待ってッ」
姉さんは俺のマントをぎゅっと掴んだ。
「また、私を置いて…どこかいくの…?!」
…心配性な姉さんだ。俺からこの世界に連れて来たんだ。置いていくわけがないのに。
「…一つ、教えておくぞ」
姉さんは俺のマントを掴んだまま、視線をこちらに向ける。
そんな不安そうな顔などする必要はないさ。
「俺は姉さんを助けたかったんだ」
「…ッ、は、話はまだ終わってないわ!」
「話は後だ」
ジョジョが俺を見ているのがわかる。きっと俺とが血の繋がった肉親だとは思っていなかったんだろうな。
俺はあの時、姉さんを助けたい一心で追い出した。
マフラーをいつまでも大切に持っている姉さんは俺に縛られているからここから出て行かないんだと思って、売ることにした。帰ってきてから追い出せば確かに帰ってくることはなかった。
…それだけじゃあない、俺が人を殺すところを見せたくなかった。自分勝手で今まで姉さんには悲しい思いばかりさせた。
今度は姉さんを受け入れる番だ。だから姉さんを夜の世界へと連れて来た。
姉さんは優しいから怒りはしないが、きっと泣いて叱ってくれるだろう。俺が今までしてきた行いについてとても叱ってくれるだろうな。
「姉さん、俺は姉さんが大好きだ」
姉さんは涙を流していた。
こんな弟で、迷惑ばかりかけて…ごめん。
全てを話したら、今度は二人で幸せを掴もうじゃあないか。
だからジョジョを始末するまで、少しだけ、待っていてくれ。
END