第3章 家族

大野さんは鋭い


自分の心の中をみすかさているみたいだ


『探したこと無いの？』


探そうなんて思わなかった。


いや、違う


探すのが怖かった。


母や父に会うのが怖い。


何しに来たんだと突き放されるのが怖い。


また捨てられるのが怖い。


私は憎んでない。


大好きだった。


でも母と父が離婚したのは私のせいだから。


母が私を捨てたのだって仕方ない。


私は誰からも祝福されること無く生まれ


父は私のできの悪さに。


母は私を一人で育てることに疲れ。


そうやって私は一人になった。


でも私の隣にはいつも和くんがいた。


笑ってるときも、怒っているときも、泣いているときも、生きることに疲れて死のうとしたときも
ずっと隣にいたのは和くんだけだった。


きっと今生きていられるのはあの時


『あなたは一人じゃないの。

どんな小さな事でも私はあなたの話を聞く

毎日、毎日。

あなたが泣きたいときは一緒に泣きます。

怒りたいときは一緒に怒ります。

でも必ず最後には一緒に笑いましょう。

あなたに涙は似合わない。

もしあなたを傷つける奴がいたら私はそいつを絶対に許さない。

たとえそれが大事な仲間でも私はあなたを守る。

だからもう一人で泣かないで美紀ちゃん』