第1章 プロローグ
「一応やってるよ」
そう答えるとカバンから一冊のノートを取り出す
「お、さすが〜ちょっと見てもいい?
俺夢なんてすぐ忘れちゃうからまだ書いたことなくて」
「うん 面白いことなんてひとつも書いてないけどね」
彼はパラパラとノートを読み始めた
夢…
夢は毎日見ている
しかもわりとはっきり覚えているから
ノートにも事細かに書けるのだ
でも自分でも書いてて訳がわからない
夢特有のありえない世界
あまりにも現実とはかけ離れた非現実
覚えてる範囲で書き綴ったそのノートは
もはや支離滅裂であった
「やばいこれ…面白すぎるって!
ゆずき天才?映画化決定!」
全て読み終えたのか笑いながらノートを返された
「そんなに笑わないでよ…
ただ見たままを書いてるだけだし」
「いや、よくこんなに覚えてるなって思ってさ
ほら、この部分とか担任が見たら絶対食いつくよ」