第3章 壁の中の街
「…壁だ」
「そんなの見ればわかります…
随分と大きな壁だなーと思って」
リヴァイはふむ…と考えるそぶりを見せると
「あとで近くまでいってみるか?」
と言った
「はい!行ってみたいです!」
私は嬉しくて満面の笑みで返事をする
少しだけリヴァイの表情が
…ほんの少しだけ緩んだ気がした
「そういえば、リヴァイさんは
何を買いに来たんですか?」
「ああ、紅茶のストックがなくなってきたから
ついでにと思ってな」
「リヴァイさん、意外にも紅茶を
飲むんですね…」
「意外とはなんだ?」
「いや、イメージと違うというか…
可愛らしいなぁと…」
「お前、バカにしてるのか?」
「そんなことないです!
私も紅茶好きですし!
美味しいですよね!
レモンティーとか…!」
「ほう…お前こそ意外にも
高級志向なとこがあるんだな」
「高級…?」
「最近じゃあ果実なんてめっきり取れない
レモンなんて高級品
貴族どもですらなかなか手に入らんぞ」
えぇ…そうなんだ…
私もレモンティー飲むのにわざわざ
本物のレモン絞って飲むことはないからな
よくあるペットボトルのやつだし…
やっぱり、元の世界とは色々違うんだ
「…その紅茶、私も飲んでみたいです」
「俺の紅茶は誰にも飲ませてないんだがな」
「…ケチですね」
「あぁ?」
いつのまにか
リヴァイに睨まれても
怖くない自分がいた
口は悪いし
態度も悪い
けど、その奥にある
優しさに少しだけ気付いたから
「ケチ」
「チッ…てめーもう一度言ったら
ここに置き去りにする」
私は笑いながらごめんなさーいと
謝った