第9章 向日葵
『今更転校しないなんて言えません』
「…そっか」
及川先輩は悲しそうな顔をしていた
『でも、この向日葵は返しません』
「え……?」
『これからもずっと
私だけを見ていてください』
「……」
勇気を出して告白したのに及川先輩は
ぽかんとしていた
『及川先輩?』
急にそのパッチリとした目から涙が溢れた
『え…えぇ!?
先輩!?どうしたんですか!?』
「本当…?」
『本当ですよ…?』
また及川先輩に抱きしめられた
さっきの遠慮がちな
抱きしめ方じゃなくて力強かった
「俺の事好き?」
『はい』
私は及川先輩の背中に手を回した
「千春ちゃんも
俺だけを見ていてくれる?」
『はい』
「絶対?」
『絶対です』
「千春ちゃん、好きだよ」
『私もです、及川先輩』
私達は向日葵達に見つめられながら
愛を誓うようにキスをした
夕日に照らされながら
2人並んで向日葵を見ていた
「また来年も、再来年も、
この向日葵を一緒に見に来ようね」
『もちろんですよ、徹先輩』
「///!?」
『……//』
「もう1回!
もう1回下の名前で呼んで!///
録音するから!」
『嫌です!//
もう帰りますよ!』
「えっ!?待ってよ!
千春ちゃん!!」